講演:「世界のどこかで瞬間(いま)」を伝えること 3/5

寺山 宮本敬文さんは、なかなかプロモーションビデオは撮らないと言っておられた方だったと思いますけど。

山路 今回が初監督作品ですが、過去に有名アーティストを断ったとか(笑)

寺山 出会いも色々あったきっかけで、こういうのならやってみたいというか、ライフワークと一致するところがあったと聞いてますが。

山路 たまたま彼の写真集が、広告代理店の待合室に置いてあって、プロデューサーがそれを見てこの人だって決めて、それで決まったという。そういう、目に見えない力というか、説明できないんですけど、そのくらい強い力に引っ張られ、このメッセージを伝えなくてはという使命感に皆燃えて作った曲だと思います。
 ここでお話ししたいのは、表現したいとか、伝えたい、伝えなければいけないという強い気持ちが、作品作りの一番コアな部分で、全てはそこから始まるんだということです。

寺山 そういう意味では「うまく出来てるね」という作品と「なんかいいね」という作品の違いは大きくあるような感じがします。編集技術であるとか、撮り方が上手いとか、映像のコンセプトが理路整然と理解できるというよりは、頭の理解より、心の強さ、感動みたいなものをお客さんが求めている時代だということですね。

本物が生き残る

山路 皆さんご存知のように音楽や映像のマーケットが今や衰退産業だと言われている中で、我々が音楽や映像をなぜ作るか、どういうものを作らなければいけないのかということを考えてみましょう。例えば、先ほどのカメラの話のように、ハイクオリティで撮れる機材が安価になって、プロとアマの境界がなくなった今、プロの意識とは?プロのレベルとは?ということが問われ、そして、何を表現するかということが、問われてくる。本物が生き残る、本物にしかお金を出さない、買ってくれない、そういう厳しい時代に既になっていると思いますし、益々進んでいくと思います。

寺山 そういう意味では、アートやクリエイティブが新しい社会のフレームワークというものを提示できるひとつの方法だとしたら、ただうまく奇麗に楽しく作るっていう以上のもの、なぜ作るかとか、何のために誰にどう伝えたいんだと、そういう社会性の部分が本当に大きくスポットを浴びてくるとは思いますが。

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